環境市民活動の概要

2023.03.24
  • ●市民による団体活動

 

福岡市には、さまざまな目的で活動しているNPOや市民活動団体、子ども会や自治協議会などの地域の組織、PTAやおやじの会などの学校単位の組織など、その規模も活動目的も多様な団体があります。なにかしらの団体に所属している市民はとても多く、中には複数の団体に参加している人もいます。そこに参加し活動することによって、得られるものの中には、個人単位では成しえない広がりや、コミュニティに所属することで得られる生きがい・充実感があります。
その中のいくつもの団体が「環境」に関する地域課題・社会課題と向き合い、公民館や公園、河川などの地域資源を活用して、みんなで学びながら環境活動に取組む場を創っています。とくに福岡市では、環境活動を専門に活動する団体が中心となり、環境教育・学習のプログラムや情報・機会の提供による環境啓発を行い、環境活動を広げるためのリーダー育成に取り組んでいます。また、団体から講師を派遣し、学生などに向けて環境教育や環境保全活動を支援すること。分野を超えて団体同士が連携し、多様な環境問題の解決にあたること。団体の後継者を育成し活動を継続していくことなどが、これからの未来を担う取組として期待されています。

 

    • ●環境に関する市民活動の現状

 

福岡市内では、環境の分野で数多くの市民団体が活動しています。市で把握できていない団体もたくさんありますが、平成26年度に実施したアンケートには、193団体が活動状況について回答していただきました。この結果からは、同じ分野の活動であってもその取組みの内容は多岐にわたっていることがわかります。

 

例えば、「自然環境保護・生き物」の分野でも、「クヌギの生長調査・勉強会」「ツクシオオガヤツリの保全活動」「樋井川清掃」「竹林で竹を切る、竹細工、筍堀り、竹でパンづくりなどの里山体験」「カブトムシの森の昆虫調査「シロウオ保護活動」など、取組みの対象も方法もさまざまです。その他の分野においても、「紙すきでハガキ作り、 裂き紙でコースター作りなどのリサイクル体験」「病院・公園などでの植樹活動」「地球温暖化防止・エネルギーに関する講演」などが実施されています。このように、市民団体は、山、川、森、海、街なか、公民館などあらゆる場所で、多様な視点から、各々のノウハウと専門性を活かし、工夫を凝らした活動を積極的かつ主体的に行っています。

 

 

 

  • ●市民団体の課題とニーズ

 

同アンケートによると、「活動資金の不足(20件)」や「人材の不足(18件)」、「集客力の不足(13件)」が団体の主な課題となっています。行政に求める要望としては、「活動の広報PR・サポート(20件)」が最も多く、続いて「財政的支援(19件)」や「人材育成(講座等の実施)(8件)」「他団体との交流の場(7件)」が求められています。とくに、人材に関しては、市民団体の中には高齢者が中心となって活動している団体も多く、若手の人材が特に不足しているという背景があります。また、市民団体を対象に実施したヒアリングの中では、分野を超えた団体間の共働・連携の促進を求める声がありました。

 

 

 

  • ●未来の市民団体の理想像

 

それでは、未来の市民団体はどのように発展するのでしょうか?ここでは、市民団体の理想の将来像について4つのポイントをピックアップしました。積極的な活動と的確なサポートをつなげることができれば、多くの仲間を集めるやりがいのある市民団体となることが期待できそうです。

 

① 情報共有
あらゆる機会や媒体の活用し、自らの活動について広く発信できるようになる。それによって、多くの人が活動を知り、一緒に活動している。

 

② 共働・連携
分野を超えて多様な団体が交流し、共働・連携による環境保全活動を実施している。

 

③ 後継者の育成
講座などによる人材育成に取組み、活動が広まるとともに、活動やノウハウを受け継ぐ後継者が育つ。

 

④ 創造性の発揮
広報面や資金面などの課題を克服し、ますます多くの環境保全団体があらゆる場所、多様な視点で、各々のノウハウと専門性を活かし、工夫を凝らした活動を積極的かつ主体的に行っている。