廃プラスチックの現在(2)

2023.03.31

●廃プラスチック削減への取り組み

 

国連気候変動サミットや世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)といった諸外国の代表者が集まる場で、気候変動・環境汚染対策に関する議論が盛んに行われています。地球規模の気候変動・環境汚染には様々な要因がある中で、プラスチック製品への風当たりも強くなっています。特にプラスチックが注目を集める理由として、身の回りで多く使われているほか、使用後の「廃プラスチック」が海洋汚染の一因とみなされていることが大きな要因です。

 

プラスチック製品への批判を受けて、諸外国ではプラスチックリサイクルの対応を拡大し、代替製品の開発や非利用化を進めています。廃プラスチックのリサイクル設備や発電設備への投資をはじめ、紙を原料とした容器製品の開発やレジ袋の有料化(米・ハワイ州他)、繰り返し利用可能な食料容器の提供(米Loop社他)など、環境に配慮したビジネスが勃興しています。日本国内では、平成の初期から循環型社会形成の推進に関する法体系が整備されたこともあり、プラスチックリサイクルについては先進国とも言える取り組みを行ってきました。

 

 

 
 

●対策は日本よりも海外で進んでいます

 

先進的な取り組みを行なってきた日本ですが、多くの課題対策においては残念ながら遅れをとっています。すでに45カ国以上の国々でレジ袋の使用禁止が批准されており、欧州議会では2021年から、ストロー、食器、綿棒、マドラーなどの代替可能な使い捨てプラスチックの使用も禁止されることになっていますが、日本ではようやく2020年7月から「レジ袋の有料化」が始まった程度です。

 

 

まずは、他国の事例に学びつつ、世界の国々と同様の危機感を持つことが、海に囲まれて暮らす日本人の大切なミッションだといえます。新型コロナウイルスの影響で物流が滞ったことも考慮し、今後は自給自足や地産地消ができるサイクルで物を循環させれば、結果的にプラスチックの包装を減らすことも期待できます。また、どうしても必要なプラスチックは、石油ベースからバイオマスベースの素材に転換し、安全な添加剤を使い、最終的にはリサイクルしていくことも大事な視点です。私たち一人ひとりも、毎日の生活の中で、どうやったらプラスチックの使用量を減らせるのかを考え、行動に移していく必要があります。

 
 

-参考-
WWFジャパン 
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html

日本財団
https://www.nippon-foundation.or.jp/
LOOP
https://buydurable.jp/