廃プラスチックの現在(3)

2023.03.31

●国内の廃プラスチックの現状

 

国内の廃プラスチックの排出量は一般ごみ・産業ごみを含め、約900万トンと言われています。廃プラスチックは容器包装リサイクル法などの法律に基づいて家庭や事業所から回収後、指定の事業者によりリサイクル処理が行われています。一般ごみの廃プラスチックの約80%は小売店などで使われる包装・容器等で、全体のおよそ36%を占めています。とくに、ペットボトル・食品トレー・レジ袋といった「使い捨て」のプラスチック製品が大量に作られ、大量に捨てられていることが、プラスチックごみの増加に大きく影響しています。一方で産業系の廃プラスチックは、電気電子機器に使用されているプラスチックが約40%、包装・容器等が約20%となっています。

 

 

データ上でも日本の1人当たりのプラスチック廃棄量は年間約32kgであり、アメリカに次いで世界2位となっています。(データは2014年UNEP報告書から)

 
 

●廃プラスチックのリサイクル

 

回収された廃プラスチックは、サーマルリサイクル(約60%)、マテリアルリサイクル(約20%)、ケミカルリサイクル(約5%)として、それぞれ処理が行われています。割合からも分かるように日本では、廃棄物の処理の際に発生する熱を、エネルギーとして回収して利用するサーマルリサイクルへの寄与度が大きく、国内でのプラスチックリサイクル率向上の一端を担っています。
プラスチック製品の代表格であるペットボトルは、分別意識の高まりや分別の容易さが相まって、ペットボトル単体で回収され、高いリサイクル率を実現しています。一方で、ペットボトル以外のプラスチック製品では、複合素材や高度な技術で加工されている場合も多く、素材を分離することができないケースも多くあります。リサイクル率向上のためには、廃プラスチックを素材ごとに分離する高度な処理技術が求められますが、国内では回収・分離の収支が見合わず、輸出や焼却処分せざるをえない状況が続いてきました。しかし現在では、企業が主体となった技術開発が進み、リサイクルを進めるうえで基盤となる技術分野の可能性に注目が集まっています。

 

 

環境汚染の原因として目の敵にされがちなプラスチックですが、元来は石油由来の貴重な資源です。プラスチックのリサイクルによる資源循環が進めば、持続可能な社会の一端を担う素材であると考えられます。今後は、廃プラスチックの回収・分離及び再利用先が拡大することで廃プラスチックリサイクルが進むことが期待されています。

 
 

●代表的なプラスチックの種類と用途

 

日本で販売される容器や包装には、プラスチックでできた製品であることを示す「プラマーク」の表示が法律で定められています。「PE」「PP」などの種類を表すアルファベットも表示されていますので、家にあるものにどんなプラスチックが使われているのか、ぜひ調べてみてください。

 

●いろんな種類のプラスチック

 

【各種マークと合わせて表示】

 

 

●終わりに

 

未来へと続いていく地球環境を考えると、毎日の生活に身近なプラスチックについて、もう一度よく知っておくことが急務です。最初からごみになる物を手に入れない「リデュース」の精神も踏まえながら、プラスチックを使うということについて、上手に向き合っていきましょう。

 
 

-参考-
日本財団 
https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/79985/sustainable

プラスチックス・ジャパン・ドットコム
https://plastics-japan.com/archives/5087